一晩を過ごす大型フェリーには飛行機や鉄道以上にたくさんの客室の等級(クラス)があります。フェリーの等級は、乗り物の座席のクラスというより、1泊するホテルの客室を選ぶようなものです。一番上と一番下の等級では中身も値段も差が大きくなっています。等級の選び方のポイントをまとめました。
※最近はフェリー会社によって様々な等級の呼び方がありますので、ここでは旧来の標準的な等級を「○○クラス」と記載しています。同じ名称でも会社によっては別のクラスの場合があります。
※最近はフェリー会社によって様々な等級の呼び方がありますので、ここでは旧来の標準的な等級を「○○クラス」と記載しています。同じ名称でも会社によっては別のクラスの場合があります。
- 個室にするか?相部屋にするか?
- フェリーの等級を選ぶときに最も重要で大きく別れるのが「個室にするか?」「相部屋にするか?」です。1晩以上かけて移動する大型フェリーはホテルのようなものです。
個室のメリットはプライベート空間が確保され着替えも自由。客室に鍵もかかるので貴重品のセキュリティ大丈夫です。また、深夜になっても客室の電気の点け消しは自由。ある程度の音は気にしなくて大丈夫です。まわりの人のいびきも気になることはありません。ホテルの部屋と同じになります。
一方で相部屋にするメリットは、なんといっても価格の安さ。また、ドミトリーのような空間になるため、周りの旅をしている人と触れ合うチャンスはうまれます。個室にちょうどいい定員の部屋がないと一部追加料金になることがありますが、相部屋であれば人数の事を気にする必要はありません。大人数だと事実上個室状態のことも。 - 相部屋でベッドで寝るか?大部屋の雑魚寝にするか?
- ※相部屋の場合のポイントです。個室を選ぶ方は次へ。
相部屋には1人1人のベッドがある部屋と、大広間に布団を並べて寝る大部屋の2タイプがあります。一番安いのは大部屋の2等(会社によってはエコノミーなど)と呼ばれる一番ベーシックな部屋です。安い代わりにデメリットとしては混雑すると隣の人と近く、いびきがうるさかったり、寝相が悪いと隣の人とぶつかったりすることです。基本的にはスペースとマット、毛布が用意されていますが、一部の会社ではデフォルトでの毛布の用意はなく、追加料金(100円など)で毛布をレンタルするところもあります。この2等のイメージが悪く、昔フェリーに乗船したことがある人でフェリーを嫌がる人もいますが、そういう人はもっと上の等級を選びましょう。2等は「とにかく安いこと」がメリットの客室で、最近は利用者が減っているため客室数も減ってきています。また、昔(2000年頃まで)は、混雑期に通常客室にしていない部屋にまで毛布を敷いて環境のよくない臨時2等室を作る会社もありましたが、最近はほとんど聞かなくなってきました。大部屋ですので基本的には部屋に1箇所ぐらいしかコンセントはありません。あまり相部屋の旅に慣れていない人にはおすすめしない部屋です。
ベッドがある相部屋は2等寝台などと呼ばれる部屋で、昔ながらのものではドミトリーのような2段ベッドが並んだ大部屋、最近の新しいフェリーでは階段を使ってカプセルようなベッドが並んだ相部屋になっています。高さはありませんが1人1人のスペースがベッドの大きさ確保されていて、カーテンを閉めれば狭いプライベート空間になります。部屋は暖かめになっていて、掛け布団はなく毛布が用意されていることが多いです。ベッド内にはライトもあって、消灯後も明るくできますし、多くの船(古い船には無いものも)にはコンセントも1つあり充電もできます。プライベート空間とは言っても鍵はかかりませんので貴重品の扱いには注意が必要です。新しい船の一部では鍵のかかるロッカーを設置する船もでてきました。
・ベッドの相部屋なら「2等寝台クラス」
・雑魚寝の相部屋なら「2等クラス」
→フェリーの等級の選び方のポイントまとめへ - 個室内にバス・トイレ付にするか?
- 個室の船室の場合の選び方は、ホテルの客室の選び方と同じです。客室の等級での大きな違いは、バス・トイレが客室内にあるか?です。スペースの限られる船の上ということもあり、新しく綺麗な船でもスタンダードなのは昔からの呼び方で「1等」と呼ばれることが多いバス・トイレ無しの個室です。どの船も大浴場には力を入れているため、海の上の景色が見える大きな大浴場がありそちらを利用することができます。トイレは船内にあるトイレを利用することになります。このクラスは1名部屋(一部の船)から2名部屋、家族がよく使う4名部屋まで豊富にあることが多いです。部屋が暖かめなので問題にはなりませんが1等クラスだと掛け布団はなく毛布のみのことが多いです。
陸上のビジネスとホテルと同様に客室内にバス・トイレがある高級な客室が多くの会社で「特等」(オレンジフェリーなどを除く)などと呼ばれる客室です。これらの客室は陸上のビジネスホテル以上の空間を確保できる動くホテルとなっています。特等クラスでは掛け布団もしっかり用意されています。特等のクラスは基本的にツインの2名部屋が多く、3名定員の部屋も一部ありますが、家族で使うような4名部屋はほとんどありません。
・バス・トイレありなら「特等クラス」
・バス・トイレ無しなら「1等クラス」
- 和室にするか?洋室にするか?
- 個室の場合の2つ目のポイントは、客室を「和室」にするか?「洋室」にするか?です。和室は3〜5名部屋ぐらいで用意されていることが多くあまり数は多くありません。小さな子どもがいる家族連れに人気で帰省シーズンには早く満室になります。和室と言っても船の場合は、畳敷きの場合と絨毯敷きの場合があり、上のランクで新しい船ほど畳になっています。乗船前に船室の説明でどちらになっているか注意してください。
洋室の場合はベッドが人数分用意されています。2名でダブルベッドは聞いたことがありません。基本的に1人1ベッドです。4名部屋(一部の2名部屋)など1等クラスだと2段ベッドのこともあります。 - その他のポイント:窓あり無し
- 主に個室でのポイントになりますが、窓ありの客室と窓なしの客室があります。大きく違いがないようにも思いますが、フェリーの場合は大きな違いが出ます。1点目は携帯電話の電波が入るか?です。窓無しの客室の場合は出港するとほぼ圏外になります。一方で窓ありの客室の場合、陸側の客室では遅くても比較的携帯電話の電波が使えることがあります。航路によりますが瀬戸内海では多くの区間で使えます。船の中で電波状況が一番いいのはデッキ(屋外)ですので、デッキの上で携帯を触っている人はよく見かけます。次にいいのが窓の横です。最近、一部のフェリーでWifiが整備されていますが実際にはほとんど使えず、デッキの上で通常の電波を使ったほうがいいことが多いです。
2つめの違いは、景色の違いです。入港が早朝で夜明け前の場合はあまり関係ありませんが、せっかく海の上にいるので、海の上の絶景を部屋から見たいものです。そのとき窓があるかないかでは気分が違います。ちなみに窓の外がそのまま海の客室と、窓の外にデッキの通路をはさんでから海になっている客室もあり、窓からの見え方にはこの2つに違いがあります。 - 最高級の客室には
- 特等以上のレベルの最高クラスの客室を用意している船もあります。それらの客室には「専用バルコニーがある」「リビングとベッドルームが分かれている」というものもあります。これらのサービスは船によって違いますので、どんな最高クラスの客室が用意されているかご確認ください。
- 【まとめ】フェリーの等級の選び方
- 選び方のポイントをまとめると、この図のようになります。一番大きな違いは個室にするか相部屋にするかで、相部屋の場合はベッドにするか。個室の場合はバス・トイレありなどどこまで豪華にするかで決まります。
それぞれの客室のクラスの呼び方はフェリー会社によって異なっていて、同じ名前でも違う設備の場合がありますので、予約前に設備内容はご確認ください(例えば、オレンジフェリーの特等は、客室は広いですが1等クラスの設備になっています)。客室を選ぶポイントは同じです。