長時間乗船する大型フェリーには、多くのタイプの客室があります。最近のフェリーの客室名は様々で同じ名称でも会社によって内容が異なっています。ここでは、旧来の名称で「○○クラス」とおおまかにランク分けしてご紹介します。客室を選ぶときのポイントは、大きく「個室か相部屋か」「バス・トイレが個室にあるか無いか」「ベッドか雑魚寝か」の3点です。
特別室 │
特等(洋室) │
特等(和室) │
1等(洋室) │
1等(和室) │
2等寝台 │
2等
- 特別室(スイートルーム)クラス
最も豪華な部屋で、船内に1部屋〜数部屋程度しかありません。このランクが設置されていない航路も多いです。多くの場合は、広いリビングとベッドルーム、バスルームなど複数の部屋で構成され、他のクラスの部屋の数部屋分の面積があります。航路によってはプライベートデッキがある場合もあります。部屋の位置は船内で最もいい場所にあり、景色もよく、2等などの等級からも離れた静かな区画にあります。豪華な部屋で船旅を楽しむことを想定された作りですので、料金もその分高くなります。このクラスは各社によってサービス内容の違いが大きいです。
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- 特等(洋室)クラス
ほぼすべての大型フェリーに設置されているクラスで、客室数も10以上用意されていることが多いです。特等クラスの設備は、ツインのビジネスホテルとほぼ同じと考えてください。多くの船では、シングルのベッド2つと、バスルーム(トイレ付き)があります。室内に椅子とテーブルもあることが多いです。テレビもあり、外の景色を楽しめる窓もほぼ100%あると思います。もちろん鍵のかかる個室です。ツインの2名部屋が多いですが、一部のフェリーはシングルの1名部屋もあります。陸上と全く同じ快適さを求める場合はこの等級にすると安心です。
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- 特等(和室)クラス
特等(洋室)クラスと同じくバス・トイレ付きの個室で、畳が敷かれた個室になります。このタイプの客室は洋室に比べると客室数も多くなく、設置されていない船もあります。そのため予約では早く満室になりやすいです。和室のため2名部屋でなく3名以上でも利用できることがあります。特等洋室とほぼ同じ料金のことが多く、陸上のホテルに比べて和室は割安です。
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- 1等(洋室)クラス
大型フェリーのほぼすべてに設置されている等級で、個室内にバス・トイレはないが鍵のかかる個室になっているクラスです。最近は相部屋の2等寝台クラスでより個室に近いものや、シャワーとトイレが個室内にあるものや、バス・トイレはなくても個室内は豪華なものなどより多様化していて分類が難しいですが、ここではバス・トイレのいずれかがない個室を分類しています。この等級の場合、寝具は布団でなく毛布のこともあります。バストイレは共同になっている安めのホテルと考えていただければいいかと思います。
多いのは2名個室や4名個室で、4名の場合の多くが2段ベッド2つ。2名の場合はツインの場合と2段ベッドの場合があります。半分ぐらいの航路では1名個室が設定されていることもあります。個室には窓がある場合と無い場合の両方があります。人数の少ない個室ほど窓がありません。バストイレは共同でもいいけど相部屋はちょっとという方はこのクラスをご利用ください。なお、部屋の定員に満たない人数で利用する場合は追加料金を支払わないと相部屋になる可能性があることもあります。フェリー会社によって異なりますのでご注意ください(3名で4名部屋の場合は貸切料金無料の場合もある)。
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- 1等(和室)クラス
客室内にバス・トイレがない和室の客室です。定員は3〜4名の客室になります。このクラスが設定されているフェリーはあまり多くはありません。"和室"と呼ばれますが、このクラスの場合は畳でなく絨毯の部屋の場合もあります。定員に満たない人数で利用する場合は、追加料金が必要な場合がありますのでご注意ください。
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- 2等寝台クラス
ほぼすべての夜行フェリーに設置されているベッドがある相部屋のクラスです。プライベートの空間は自分のベッドだけになります。この等級の特徴は「相部屋」で「ベッドがある」こと。海外の安宿にあるドミトリーをイメージして頂けるといいかもしれません。相部屋なので旅の手段としてはリーズナブルです。従来からある客室は2段ベッドが両側にある8人程度の部屋です。2005年頃以降に建造されたフェリーでは、より個室感があり、ハシゴでなく階段になったキャビンタイプが増えています。
個人のベッドに鍵はないので、貴重品の管理には注意してください。一部では客室内に鍵のかかるロッカーもありますが、客室内には無い船が多く、貴重品はエントランスのコインロッカー/貴重品ロッカーや案内所(フロント)に預けることになります。部屋の定員と同じ大人数で利用すると個室のように使えますが、鍵はありませんし必ずしも全員が同じ部屋で貸切状態になるかの保証もされてないことが多いです。
相部屋で男女混合になることが多いですが、一部の客室はレディースルームで女性専用にしている場合もあります。数に限りがありますので早めに予約されることをお勧めします。
ベッド内にライトとコンセントが1口あることが多く、充電をすることはできますが、一部の古い船にはコンセントがありません。コンセントを重視する方は、事前に運航会社に事前に確認しましょう。リーズナブルに旅をしたいけど、隣の人を気にせず、ベッドで寝たい方はこの等級をお勧めします。旅に慣れている方でしたら、十分快適な船旅を楽しめると思います。
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- 2等クラス
ほぼすべての夜行フェリーにあるクラスです。最も安いく、サービスレベルも低くなります。このクラスは夜行バスやLCC以下の価格で利用できます。部屋はカーペットが敷かれた大部屋で10人〜数十人が1つの部屋です。プライベート空間はありません。ごく一部の船では1人1人にロッカーがありますが、貴重品の管理にも注意してください。車で乗船した場合、運転者はこの等級に無料(乗用車の料金で)で乗船できることが多いです。1人に60cm×2mぐらいのスペースが与えられてその場所で寝ます。枕とマット、毛布1枚があることが多いです。混雑しているときは隣の人との距離が近いのが欠点です。大人数で乗船するときは一角を自分たちのスペースのような雰囲気にできるは便利だと思います。最近は少なくなりましたが、混雑時に多くの乗客を乗せるために、臨時の2等室が設けられることがあります。レストランやロビーの一角をカーテンなどで仕切ってカーペットが敷かれて、同じような寝る空間ができます。
このクラスに乗船するときは、混んでない時期に乗船されることをお勧めします(混雑時は、隣の人との距離が近くなり、臨時2等の部屋だったりする場合もありえます。)。どんなところでも寝れる方、とにかく安く移動したい方にこのクラスをお勧めします。
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特別室 │ 特等(洋室) │ 特等(和室) │ 1等(洋室) │ 1等(和室) │ 2等寝台 │ 2等