長時間乗船する大型フェリーには、多くのタイプの客室があります。最近のフェリーの客室名は様々で同じ名称でも会社によって内容が異なっています。ここでは、旧来の名称で「○○クラス」とおおまかにランク分けしてご紹介します。客室を選ぶときのポイントは、大きく「個室か相部屋か」「バス・トイレが個室にあるか無いか」「ベッドか雑魚寝か」の3点です。

エントランス案内所売店自動販売機レストランカフェ展望大浴場展望ラウンジ・ロビーデッキ車両甲板キッズスペース・授乳室コインロッカー給湯器コインランドリーエレベータースポーツルームペットルームブリッジ救命設備
  • キッズスペース・授乳室

    新しいフェリーほど、子供向けのキッズスペースや授乳室が充実しています。個室の場合はあまり使うことがないとは思いますが、子供の気分転換に使うこともできます。一方で古い船はあまりこのような設備はありません。2010年以降の船が充実しているように感じます。
  • コインロッカー・セキュリティボックス

    客室内に荷物を置くことはできますが、鍵のかかるコインロッカーも多くのフェリーにあります。貴重品は案内所に預けることもできます。コインロッカーは有料が多く、セキュリティボックスは無料が多いです。航路によっては冷蔵のコインロッカーもあります。
  • 給湯器

    多くのフェリーにはこのような給湯室があり、お湯は入手することができます。写真の場所では冷水機もあります。
  • コインランドリー

    一部のフェリーにはコインランドリーがあり、長旅の人は洗濯を移動中にすることができます。
  • エレベーター

    ほぼすべてのフェリーにエレベーターがあります。通常の船内の移動は階段を使うことが多いですが、高齢者の方やベビーカーはエレベーターもあるので安心です。
  • スポーツルーム

    一部のフェリーには、スポーツルームとして卓球台やトレーニングジムが用意されていることがあります。
  • ペットルーム・ドックラン

    最近増えているのがペットも一緒に旅行できるように、ペットをゲージに入れて預けることができるペットルームや、ペットと一緒に個室で過ごすことができる専用の客室、長旅の間も犬を自由に放すことができるドックランがあります。ドックランは2015年ごろから一部フェリーで設置されはじめました。今後増えるかもしれません。
  • ブリッジ(操舵室)

    旅客が通常立ち入ることができる場所ではありませんが、船内の紹介として、船を動かしている司令塔がブリッジ(操舵室)です。船の最前部の最上階に横長くガラス窓が並んでいる場所です。24時間当直の航海士が常駐し、乗客が寝ている夜中も船を動かしています。船を動かしているのは船長だと思われる方もいますが、実際に船長が操船指揮をとるのは、出港・入港と狭い海峡を通過するときだけで、大半の時間は当直の航海士が操船指揮をしています。ブリッジの中の当直は複数の乗組員で行われています。
  • 救命設備

    通常は使用することがなく、使用されないほうがいい設備で紹介になりますが、フェリーには法令に沿った救命設備があります。旅客船に対する安全設備の国際基準・法律は年々厳しくなっているので新しい船ほど厳しい基準で作られています。日本の長距離フェリーでは1975年以降、40年以上海難による旅客の死亡者はでていないかと思います。
    救命設備として、全員分の救命胴衣(ライフジャケット)、船から脱出するときの膨張式救命筏(デッキにあるカプセルの中にある)、救命筏を移動させる救命筏支援艇、そのほかにも位置を知らせる装置や機関室とは別に設置された非常用発電機など様々なものがあります。
    沿岸を走る国内航路のフェリーは、映画で出てくるような救命ボートではなく自動的に膨らむゴムボートが入ったカプセルが備えられていて、船上にあるボートはそれを支援するためのボートです。